2/08/2016

絵が好きな男



最近、ふと自分は本当に絵を描くことが好きなのだなと思うことがあった。改めて何を今更と思うかもしれないけれど、自分にとってはなんか不思議な発見であった。

僕は職業として絵を描く。絵コンテやポスターなど、細かい内容の決定はほぼ他者に委ねられたビジネス的ビジュアルコンテンツを提供するために自分の培ってきた技術と時間を金銭という報酬を代償に提供する。要するに食べるために絵を描く。

また僕は個展などに出すための絵も描く。これは僕の中では職業とは違う位置付けがされている。大げさに言ってしまえば、自分がこの世界に生きるために存在する宿命のようなもの。自分のために自分の中から生まれてくるのだけど、それはどこかの人や場所と結びついていて、求めているし、求められている。世界にひっそりと存在する縁や繋がりのようなものを、コツコツと紡いでいくような作業。好きで描いている部分もあるかもしれないが、楽しいだけでもないし、とても突き詰めて、自分を追い込んで、質の高さや品のようなものも強く追及する。ある意味仕事よりもこだわりがあるかもしれない。かといって、これで生活しようとは基本的にはあまり思っていない。結果的にできたら嬉しいけれど、あくまで作る段階では、金銭的生活とはあまり直結しない自分の存在意義のようなものを探求するための絵を描きたいと思う。

これらのものを作る技術を高めるためにももちろん絵を描く。クロッキーなどに参加するのはこのため。スポーツ選手のトレーニングのようなもので、楽しい部分ももちろんあるが、好きなことを持続し、高めていくために必要だと思っている。

そして、僕は息抜きにも絵を描く。人に見せなくてもいいし、下手でもいい。気に入ったものが描けると嬉しいし、共有したくもなる、また個展への作品につながることもあるけれど、前もってそれを考えると息抜きにはなりにくいので、もっとふわっと楽に描く。定期的に、カフェや公園に行って、のんびり気ままにスケッチを描く。単純に楽しく絵を描く。しばらくこれができないでいると、なんかいろんなものが雑になっていく気がするし、シコリのようなものが溜まっていく感じがする。マルカフェ美術部での時間も今はこれに近い。

こうして並べてみると実に絵ばっかり描いている。不思議なのは僕は好きだから絵を描いているというよりは、これだけ描いているんだから、自分はよっぽど絵が好きなんだなと、どこか他人事のように思うところだ。自分の好きとか嫌いとかって未だによくわからない。自分の行動を見て、ああそうかと思うことの方が多い。そして、こうやってたくさん絵を描きながら自分の考えや、立ち位置、周りの人や場所や物事を認識し、価値が定まってしまいそうになるとそれを壊すように努め、自分の心を自由に宙に浮かしていたいと願う。






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