3/07/2020

21番目



今更ながらダウン症という病気について自分なりに書いてみる。

ダウン症は、21番目の染色体が正常では2本のところが3本存在するという病気である。染色体というのは、ざっくりいえば遺伝子の入れ物のことで、人間の場合は全部で23対、46本ある。その特徴ごとに便宜上番号が付けられており、その21番目が1本多いというのがダウン症というわけだ。

さて、染色体が1本多いということは、身体を生成するための遺伝の命令が過剰に存在するわけで、結果、様々な身体的特徴を生ずる。

21番目と区別されてはいるものの、具体的になにがどこにどう出るかというのは、現代の医学でそれほど解明しているわけではなく、ダウン症という病気の条件は21番目の染色体が1本多いというだけで、そこに重度や軽度という判別はない。正常な遺伝子を持つ人間の優劣を遺伝情報だけから区別することができないことと同じだ。染色体異常に起因して発生する合併症ごとに、例えば重度の心臓病を持って生まれたり、軽度の視覚障害を持ったりするが、たとえ多くの重度の合併症を持っていても、遺伝子レベルで重度のダウン症という診断にはならない。このことを強調する医師が多い理由は、例えば重い合併症を多くもっているからといって、全ての能力の発達に見切りをつけてしまうべきはなく、本来持っているはずだった能力の成長を見落としてしまっていけないからだと考える。

ダウン症によくみられる身体的特徴として、例えば低緊張と呼ばれる筋肉の緊張の弱さがある。これにより体が柔らかく、運動が苦手で疲れやすい。また半数近くは先天性心疾患を持って生まれ、中軽度の視覚障害があったり、聴覚障害があったり、甲状腺機能に異常が出やすかったりする。また知的発達遅滞も一般的で、特に言語の獲得には時間がかかると言われる。しかし、どの特徴においても、かなり大きなばらつきがあり、染色体疾患というのはひとくくりにまとめるのがとても難しいことがわかる。それは、そもそも遺伝のメカニズムの研究自体がまだまだ未熟な領域で、遺伝と能力と環境(教育)の関係が実に複雑だからだと思う。たとえば、母親の遺伝情報Aと父親の遺伝情報Bが組み合わさったABという子供が、Cという環境の中で育った場合に、それぞれの遺伝情報がどのように環境にさらされていくかで、 AxBxCの掛け算のような形で結果が変わってくるわけだけれど、その遺伝情報がAABという具合に過剰な状態で存在することを考えるとその複雑さが少し想像できるのではないかと思う。その平均値の振れ幅の大きさ自体も、染色体疾患の特徴と言えるかもしれない。

と、ここまでつらつらと書いてみたけれど、これぐらいのことは当然ながらちょっとネットで検索すればいっぱい出てくる。つくる君がダウン症の診断を受けた時にも、当時の担当医にダウン症の子がかかりやすい病気のリストのようなものを渡されたのを今でもよく覚えている。こういう客観的統計的事実みたいなものは、結局のところ他人事になってしまい、平均のばらつきが大きいことも相まって、意味があるような無いようなものになってしまう。例えば、日本人はこんな人間だ、みたいなことにあまり実態も意味もないことと同じように、とまでは言わないが、あくまでざっくりとした傾向と対策みたいなことになる。


では、つくるくんはどんな子なのか。まだ3歳前でわかることなんてほんの一握りだし、一人っ子なので比較することもできないけれど、それはまた今度書いてみたいと思う。