8/03/2017

ツクル





我が家に新しい家族が出来たというニュースは、そろそろ風の便りで届いた頃だろうか。
2017年5月4日,ちょうど1年前に亡くなった彼の曾おばあちゃんの誕生日の前夜に(役所の関係で記録上の誕生日は別の日になっているけれど)2857gで生まれてきた。

名前は 造(つくる)。

芸術に関わらず何かをつくる喜びや楽しさに触れて欲しいという願いから付けられた。
まだ生後3ヶ月、まだまだ何もわからない。無邪気に日々成長してくれている。あっという間という気もするし、いろいろあったので長かったという感覚もある。2ヶ月近く入院し、そのあと病院に近い妻の実家に1ヶ月近く居たため(その間もほぼ毎日通っていたので顔は合わせていたが)我が家に来たのはほんの1週間前。本当の生活はまだ始まったばかり。

ここらでちょっとつくる君の身体のことを記録も兼ねて紹介したい。



つくる君はダウン症だ。その関係もあって生まれながらに心臓が悪く、生後1週間ですでに1回目の開胸手術をしている。

1回目の手術は時間稼ぎの要素が強く、今後少なくとも1回、もしくは2回の根治のための手術が必要である。簡単に言うと、心臓の右と左を分ける壁が不完全なため、本来左心室を出て全身を回ったあと、右心室を経て肺で酸素を供給されて戻ってくるはずの血液が、左心室に漏れて再び全身に行ってしまう。結果、血液中の酸素濃度が低くなり、慢性的なチアノーゼになる。この壁に小さな穴や欠損がある赤ちゃんは実はとても多く、心臓の話をするとかなりの高確率で誰かしら周りにもいたという話が返ってくる。多くの場合は成長とともに塞がってくれることが多いので手術までは必要ないのだけれど、つくる君の場合は完全型で、しかも他にもいくつかの合併症があるため、手術は避けられない。もっともシンプルな処置はこの壁を修復する二心室修復と呼ばれる手術なのだけれど、つくる君は左心室が右に比べて少し小さいため、一心室修復という治療法(フォンタンとグレンという2回の手術)が必要かどうかの瀬戸際にいる。

こう書いてしまうと、少し重く聞こえてしまうかもしれないが、いや、確かに簡単なことではないし、実際大変なのだが、この手術は割と確立されており、難易度は高いが失敗率は比較的低い。そして、成功すればあまり制限なく生活できるようになる。今は鼻に酸素チューブを付けているので、外出時間が制限されていたり、鼻がつまりやすかったりはあるが、基本的には本人は元気そうにしているので、重く捉え過ぎずに希望をもって日々の生活を送れれば、と思っている。というよりも、頭の中で勝手に作り出してしまう未来の不安に飲み込まれてしまわないようにするには、現実に目を向け続けるしかない、と言った方が正確かもしれない。とにかく早く、といっても次の手術に耐えられる大きさになるまで数ヶ月から1年2年と待たなくてはならないのだけど、とにかく早く、全ての手術が無事終わって欲しいと切実に願う。

そして、ダウン症。これはもう不確定の要素が多すぎて心配しだしたらキリが無いし、かと言って変にポジティブに捉えようとするのも何か違う。3月に心臓病のことがわかり、そして、心疾患の4割がダウン症だときいてから、実際に生まれて検査結果が出るまで、色々考えては落ち込み、思い悩んだ。障害というただのイメージに怯え、思い描いてきた明るい未来の崩壊を嘆き、先の見えない世界にうろたえた。健全な人達を羨みもした。未だにダウン症についても、障害児を育てるという事も、正直よくわかっていないのだと思う。しかし、我が子を愛おしく思う気持ちに支えられて、彼と現実の世界で向き合っていく中で、少しずつだけれその現実を消化し始めることが出来ているような気もする。新しい現実に合わせて、新しい未来を見据えることも出来るようになった。わからない事だらけだけれど、それはきっとどんな立場の人も、根本的には変わらないはずで、それも一つの真実として、受け入れるしかないのだ。

なるべく開かれた人間関係の中にいたいと思うので、少しずつだけれど、こうして人にも病気のことを共有したいと思い文章に書いている。必要以上に同情されたり、また逆にポジティブなイメージで元気付けられる事を怖がってもいたが、対応の仕方は人それぞれであるはずだし、もしかすると、自分のその人に対する思いがただ返ってきて来ているだけなのかもしれない。少しでも自分の正確な気持ちを汲んで共鳴してもらえたら、やはりそれが一番嬉しいけれど。





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