近頃はなかなか私生活に余裕がなく、変な闇の力を出してしまわないかと心配したけれど、描き始めてみたら不思議と心が澄んでいく感じがあって、あぁ楽しいなぁと、しみじみ噛みしめるように、シンプルに描くことを楽しめた。
こんなことを改めて言うのも変かもしれないけれど、文字通り雨の日も風の日も、長い間絵を描いてきてよかったなぁと、バカみたいに最近思う。そして、これから先何十年といったいどんな絵が出来ていくのかを、想像するとワクワクする。そんなふうに思えることに出会えた自分は本当についてたなと思う。人生も環境もフェアなんかじゃないし、辛いことも悲しいことも起こる。世界中は不平等で満ちている。しかし、その全てを飲み込み、力に変え、前に進むもうとする自分がいる。その中心にはいつも絵を描くという行為がある。絵を描いているのか、絵に描かされているのか。
そして、僕は絵を描くことをとおして、答えのない疑問を熟孝していきたいし、答えのないものを形作っていきたい。目で観察して描いてきたからこそ、目に見えない隠された深みのようなものに美しさを感じるし、見えないものを想像する力を大事にしてほしいと願う。幸せそうに見える人が全く問題なく生きてるはずもないし、辛そうに見える人が辛いばかりでもないのだ。眼に見えるものばかりで判断してないで、想像しろよバカヤロウと、アツく叫びたい時が僕にだってある。とはいえ、妄想しすぎて現実が見えなくなっても困るけれど。
そんなことを思いながら、ししゃもの頭にかじりつき、腹から出てきた命のカケラたちに想いを馳せる。