上の絵は1年以上前に描いたもので、このブログにも載せたことがあるし、いろんなところでプロフィール用の絵として使っていたのだけど、今回の個展に出したくて他の作品になるべく溶け込むように少し手直しした。表現したかったものは自分自身、自我、エゴ。人間のエゴ。人間らしさ。文明社会。左脳の司る直線的で損得や過去や未来に縛られた世界。主観的世界。
そして、下の絵は今回個展のために書き下ろした。描き終わってみると偶然にも一枚目の絵から1年後の同じ月日だった。モデルは妻であるYu Cotton-well。描きたかったのは君、あなた、セルフ。二人称、観察者、自然世界。右脳の司る並列的で”今”という瞬間を生きる直感的な世界。しかし、あくまで自分というものがまずあっての相手を対象にしたかったので、客観ではなくて主観的に見たもう一つの主観でもある。
まず自分という世界がある。しかし、もし世界にあなたがいなければ自分の自我なんてあっという間に消えてなくなってしまうだろう。そして、そのあなたにはあなたの自我の世界が存在し、その世界を想像する時、僕はかならず自分を通してあなたを認識する。自分に足りないもの、自分に似ているところ、自分の好きなところ、自分の嫌いなところ、そういったものを投影しながら、それでも、あなたの世界を少しでも理解したくて想像する。そうして繋がった輪には小さな宇宙があり、その輪が次から次に繋がって大きな宇宙をも形成している。
そうして3つ目の絵。エゴとセルフが調和された世界。僕の夢でもあり、実は今の現実社会そのものでもあるかもしれない。人間の欲張りの罪深さから生まれた世界ではあるけれど、だからこそ愛があり、恋がある。血が流れ、痛みがある。そんな不安定で脆く弱いユメ。
今回の個展で最後に足されたこの3つの作品。他の作品に比べると、すごくパーソナルな意味合いが強い。震災を経た今の自分の立ち位置をあくまで個人的に描きたくて描いた。結局、どんな大きなことが起こっても、どんな大きなことを言ったって、僕ら人間が直面できるのは全体からみたらとても小さな個人的な世界がほとんどだと思うから。だから、いつもより磨き上げた完成度のようなものを求めず、日頃のスケッチに近い"Raw"な感じをあえて目指した。この3つをセットで買ってくれた人がいてとても嬉しかった。3人の子供にあげるらしい。
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